南アルプス学講座&取り組み発表会
3月5日に表題の発表会がオンラインで開催されました。
取組発表会は南アルプスユネスコエコパークを構成する山梨県4市町から発表があり、鹿の害に関する観点からは以下の報告がありました。
韮崎市甘利山倶楽部からは甘利山山頂付近で鹿によるレンゲツツジの食害に対し2016年及び2018年に鹿除け柵が設置された結果、レンゲツツジの生育が促進されオトギリソウ・クガイソウ・グンナイフウロ等18種の花々が認められたとの報告がなされました。
南アルプス市白根高校自然科学部からスルガヒョウタンボクに関し櫛形山トレッキングルート周辺ではいずれの株も食痕が認められ危機に瀕しているが、防護柵を設置した株は順調に生育しているとの報告がありました。
早川町野鳥公園から鹿の生育密度は高いがまだ生育数の増減傾向に関しては更なる調査が必要であるが、鹿の糞を分析した結果繊維質が多く鹿の食糧事情は劣悪と判断されるとの報告がありました。
いずれの報告でも鹿の食害に関する問題を抱えているが、防護柵の効果は大きいとの報告がなされています。
南アルプス学講座として南アルプスユネスコエコパーク科学委員の若松伸彦先生より課題と今後の対応に関し講演がありました。
エコパークは世界遺産と異なり生態系の保存と持続可能な利活用が基本であり、10年毎にユネスコに対する報告が必要であり場合によっては削除されることもある。
南アルプスユネスコエコパークは3県10市町村から構成されているため、関係者が多数で課題調整に時間が掛りまた民間団体が直接関与することが困難であるが、今後間接的に関与できる仕組みの構築が必要と指摘されました。
2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能は開発目標)は自然に根差した解決策であり、自然環境は人間にとって必要不可欠なもで地域の自然や文化に興味を持ち南アルプスユネスコエコパークの維持に取組みましょうとのまとめがありました。
(記 榎本教良)








